紙コップは便利な反面、使い捨てが基本のため環境への影響が大きいアイテムのひとつです。
とくに、コーティング素材の違いによって、リサイクルの可否やCO₂排出量などに差が生まれます。
そこでこの記事では、環境に配慮した紙コップの素材選びについてわかりやすく解説します。
どんなシーンでどんな紙コップを使えば良いのかなど、ぜひ参考にしてくださいね。
紙コップが環境に与える影響とは?

紙コップは見た目には紙のようでも、内側にコーティングが施されているため、単純に紙資源としてリサイクルできない場合があります。
燃えるゴミとして処理されると、素材によっては焼却時に温室効果ガスであるCO₂を排出することもあるため処分には注意が必要です。
また、日本では紙コップの再利用やリサイクルが進みにくく、大量消費される「使い捨て文化」も環境負荷の一因です。
素材を見直すことが、もっとも手軽にできる環境配慮の第一歩といえるでしょう。
環境に配慮し、お客様に愛される企業を目指しましょう。
環境にやさしい紙コップ素材とは?

環境にやさしい紙コップ素材とは?
環境配慮型の紙コップには、原材料の選び方に工夫がされています。
主に以下のような素材が使われており、それぞれに明確な環境的メリットがあります。
1つずつ確認していきましょう。
FSC認証紙(森林管理協議会認証紙)
FSC(Forest Stewardship Council)認証とは、環境・社会・経済のバランスが取れた森林管理が行われていると国際的に認められた証です。
この認証紙を使用することで、違法伐採や乱開発に加担せず、持続可能な森林資源の利用に貢献できます。
現在、多くのグローバル企業がこのFSC認証紙を採用しており、企業姿勢のアピールにもつながります。
間伐材使用紙
間伐とは、森林の健全な成長を促すために、密集した木を間引く作業のこと。
これによって日光や風通しが保たれ、土壌流出や病害虫の発生を防ぐことができます。
日本国内で出る間伐材は有効活用されにくいことも多く、それを紙として再利用することで、国産資源の循環と地域林業の活性化につながります。
環境への配慮とともに、地域貢献にもなる素材です。
再生紙との違いについて
再生紙は、使用済みの古紙を再加工した紙で、資源の再利用という点では非常に効果的です。
しかし、食品に接触する用途においては注意が必要。
製造工程で衛生基準をクリアする必要があり、強度や防水性がやや劣るケースもあるため、ドリンク用の紙コップには使われにくい場合があります。
再生紙=必ずしも万能ではないという認識を持ち、シーンに応じて素材を選ぶことが重要です。
紙コップ素材別の特徴を解説

紙コップに使われる素材の全体像
紙コップにはこちらの記事でご紹介しましたようにさまざまな構造がありますが、一般的には以下の2つの層で構成されています。
①本体の紙素材(原紙)
②内側のコーティング素材(防水加工)
ここからは主な素材についてご紹介いたします。
①本体の紙素材
バージンパルプ
木材を原料にした最も一般的な紙素材。
強度と加工性に優れ、ホットにもアイスにも幅広く使われています。
FSC認証紙・間伐材使用紙
持続可能な森林管理や国産資源循環に配慮した素材。
見た目や手触りは一般の紙とほぼ同等で、企業の環境配慮アピールに有効です。
バガス(サトウキビの搾りかす)
非木材資源の代表格。
焼却してもCO₂排出が少なく、自然分解性もあり、エコ素材として人気です。
I Love Cupでは、バイオマス紙コップとしてこちらの素材を取り扱っております。
再生紙(古紙)
古紙を再利用した紙。
ただし、飲料用途には強度や衛生面で制限があるため、紙コップではなく外装やスリーブなどに使用されることが多いです。
②コーティング素材(内面の防水層)
PE(ポリエチレン)
最も一般的な防水加工。
ホット・アイス兼用で、コストも安い。
ただし、プラスチック系のためリサイクルが難しく、焼却時にCO₂排出。
PLA(ポリ乳酸)
植物由来の生分解性プラスチック。
商業コンポスト環境下で分解可能。
冷たい飲料向けが多く、ホットにはやや不向き(耐熱約45~50℃程度)。
水性コーティング(アクアコートなど)
紙に水性ポリマーを塗布し、リサイクル性や分解性を向上。
焼却時の有害物質が少なく、近年注目されています。
ホット・アイス両用タイプもあり。
ワックスコート(蝋引き)
紙にロウを染み込ませた加工。
主に冷たい飲料用で、保冷性が高いが、ホットドリンクには不向き。
ただし近年は減少傾向にあります。
PP(ポリプロピレン)
PEに比べてやや高価だが、耐熱性や耐薬品性が高い。
環境配慮ではPLAや水性コートに比べやや劣る。
※以下の表は、各素材をまとめました
素材名 | 特徴 | 環境配慮度 | 耐熱性 |
PEコート | 汎用性が高くコストに優れる | 低 | ◎ |
PLA | 生分解性・植物由来でコンポスト対応 | 高 | △ |
水性コート | リサイクルしやすく脱プラ対応可能 | 中〜高 | ◎ |
バガス | 非木材素材・焼却時も環境負荷少 | 高 | ◎ |
PP(ポリプロピレン) | 強度・耐熱性が高い | 中 | ◎ |
ワックス | 保冷専用・水滴防止に優れる | 低 | × |
シーン別おすすめ紙コップ素材

用途や提供スタイルに応じて、最適な素材は異なります。
以下の内容を参考に適切な紙コップを選びましょう。
ホットドリンク:
PEコート紙カップが一般的。
PLA対応や二重構造カップを選ぶと持ちやすさもアップ。
アイスドリンク:
ワックス加工やPEコートのアイス専用カップが主流。
結露を防ぎ、持ちやすさを重視。
大量配布用途:
コスト重視ならPEコート、エコ重視ならバガスやPLA。
環境配慮重視:
PLAやバガスを選び、印刷なしやFSC紙との組み合わせでよりサステナブルに。
環境意識の高い消費者が増えるなか、紙コップの選定はブランディングにも直結します。
I Love Cupでは、断熱素材の紙コップやバイオマス系の素材でできたものなどさまざまな素材の紙コップを取り扱っており、用途や価値観に合った選び方を提案しています。
環境配慮素材の選び方のコツ

環境に優しい包装資材を選ぶときは、「ただエコな素材を選べばいい」というわけではありません。
企業として責任ある選定を行うためには、素材の特性や実用性、コスト、そして自社ブランドとの相性の3点を総合的に判断することが重要です。
以下では、選定時に押さえるべき3つの視点を詳しく解説します。
1. どの工程で環境負荷が発生するかを知る
まず大前提として、「素材のどのライフサイクル段階で環境負荷が大きいのか」を理解しましょう。
製造段階:
二酸化炭素排出量や原材料の採取による自然破壊
使用段階:
短期間で使い捨てになるか、再利用可能か
処理段階:
リサイクル性、生分解性、焼却時の有害物質の有無
たとえば「PLA(生分解性プラスチック)」は処分時の環境負荷が小さい一方で、工場での分解処理設備が必要な場合もあり、導入地域のインフラ状況も加味すべきです。
2. 使用シーンとの相性をチェックする
エコ素材でも、実際の用途に合わなければ意味がありません。
素材の「機能性」と「使用目的」のバランスを見極めましょう。
耐熱性:
温かい飲料や食品を扱う場合は、高い耐熱性が求められる(例:PEコートやPPなど)
耐水性・防湿性:
水分や油分を含む商品には、水性コートやPLAなどの加工が必要
保存性:
長期保管が前提となる商品の場合、素材の劣化しにくさや密閉性も重要
「エコ=機能が劣る」と誤解されがちですが、最近は技術の進化により、高性能かつ環境に配慮した素材も増えています。
3. コストとブランディングのバランスを意識する
一般的に環境配慮素材は、従来の石油系素材に比べて単価が高くなりがちです。
とくにPLAやバガス素材はロット数や加工内容によってコスト差が大きく出ます。
ただし、単純なコストだけで判断するのはNGです。
以下3点のような視点も加味しましょう。
企業イメージの向上:
「環境に配慮するブランド」としての訴求力
顧客の共感や支持の獲得:
環境意識の高い消費者から選ばれやすくなる
SDGs達成やESG経営の一環:
社内外での評価向上や採用活動にもプラス
一部商品やギフト向けラインだけでもエコ素材に切り替えるなど、段階的な導入もおすすめです。
導入事例
・IKEA:
プラスチック製品の段階的廃止とともに、再生素材やバイオ素材製品の採用を進行中。
・スターバックス:
再利用可能カップの推進やリサイクルの仕組み作りに積極的。
・ミズノ:
製品包装を100%再生紙のボックスに切り替え、環境負荷の低減を実施。
・アイラブカップ
企業規模に関わらず、環境配慮への取り組みはすでに当たり前の時代。
I Love Cupでは、環境に配慮した素材を使った紙コップの提案もしております。
まとめ
環境配慮の第一歩は、紙コップの素材選びから始まります。
用途に合ったコスト・機能・環境バランスを見極めて、納得できる選択をすることが重要です。
エコ素材の導入は、ただのコストではなく、顧客との信頼を築くブランド投資。
まずはどんな素材があるのかを知り、自分たちにとって最適な一杯を支える紙コップを選んでみてください。